Bloom ─ブルーム─
「あ!」
鞄を見て、返し忘れていた退学届をふと思い出した。
慌てて中から取り出すと、先輩に差し出す。
「これ、放課後健さんが私にくれたんです。でも、私が持ってるわけにいかないから」
これを渡したらどうなるか不安だけど、それを決めるのは先輩自身。
やれることはやったから。
後は先輩を信じよう。
「何?これ」
ん?何?って。
「大樹先輩の退学届……ですよね?」
でも、受け取った先輩は不思議そうに首を傾げながらそれを開く。
そして
「これ、中身見た?」
クスッと笑いながら聞いてきた。
「いいえ」
答えた私に見せてくれた退学届の中身は──
“変なおじさんの寝顔と、半分切れた私と、目を瞑った大樹先輩”
「え……えぇぇぇっ!?騙された?」
健さんのしてやった風な笑顔が見えた気がした。
これ、何枚印刷してるの?
どんなけ気に入ってるの?
「そっか……それで、来てくれたんだ?」
でも、騙した健さんを怒るわけでもない先輩は、力の抜けた笑顔を見せてくれる。
「すいません。慌てて……。でも、東京にお世話になった先輩が待ってるからそこに行くつもりかもとかって、もっともらしいこと言ってたから」
「先輩?」
「はい。えっと、確かドラムの人の彼女の弟だとかって……」
「あぁ、安田先輩のことだ、くくっ。正確に言うと先輩の姉ちゃんが後々明宏の彼女になったんだけどね?」
「はぁ……」
嘘は嘘でも、まるっきり作り話でもなかったのかな?
鞄を見て、返し忘れていた退学届をふと思い出した。
慌てて中から取り出すと、先輩に差し出す。
「これ、放課後健さんが私にくれたんです。でも、私が持ってるわけにいかないから」
これを渡したらどうなるか不安だけど、それを決めるのは先輩自身。
やれることはやったから。
後は先輩を信じよう。
「何?これ」
ん?何?って。
「大樹先輩の退学届……ですよね?」
でも、受け取った先輩は不思議そうに首を傾げながらそれを開く。
そして
「これ、中身見た?」
クスッと笑いながら聞いてきた。
「いいえ」
答えた私に見せてくれた退学届の中身は──
“変なおじさんの寝顔と、半分切れた私と、目を瞑った大樹先輩”
「え……えぇぇぇっ!?騙された?」
健さんのしてやった風な笑顔が見えた気がした。
これ、何枚印刷してるの?
どんなけ気に入ってるの?
「そっか……それで、来てくれたんだ?」
でも、騙した健さんを怒るわけでもない先輩は、力の抜けた笑顔を見せてくれる。
「すいません。慌てて……。でも、東京にお世話になった先輩が待ってるからそこに行くつもりかもとかって、もっともらしいこと言ってたから」
「先輩?」
「はい。えっと、確かドラムの人の彼女の弟だとかって……」
「あぁ、安田先輩のことだ、くくっ。正確に言うと先輩の姉ちゃんが後々明宏の彼女になったんだけどね?」
「はぁ……」
嘘は嘘でも、まるっきり作り話でもなかったのかな?