白紙撤回(仮
第四夜
翌日から俺はサイトの運営、管理を任されるようになった。
と言っても、パソコンに張り付いているわけもなく市ヶ谷のラブドール制作の雑用が俺の主な仕事になった。

人形に服を着せたり、納品する人形の梱包、運送屋の手配など。
中でも、ほぼ等身大のラブドールに服を着せるのが厄介で俺には上級者向けの着せ替え人形のように思えた。

それに雑用をやり始めラブドールに触れるようになるとたまに不思議な気分になった。
市ヶ谷の造るラブドールは様々で可愛い系から綺麗系、ロリからセクシーまで色んなタイプがある。
そのリアルさからなのか時々、ゾクリと鳥肌が立つのだ。

目を閉じたタイプのラブラドールは今にも目を開けそうな程、生々しい。
梱包の為に人形を抱えていると思わず口から出た。

「夜中に動き出しそうだな……」

「夜中に動くのはご主人様でしょ。この娘達は真性のマグロだから」

「そりゃまあな……いや、そうじゃねぇよ?」

市ヶ谷にサラリと流されたが要は生きているようだと言いたかった。
市ヶ谷は手を止めてラジオの電源を切った。

「休憩しよう山科君。メシ休憩」

「おー何、食う?」

「ラーメン食べたい」

「あー。俺、チャーハン食いたい」

「また?山科君、好きだねチャーハン」

「旨いだろ?半チャンセット決定だな」

工房を出て扉を閉めると俺達は昼休憩にラーメン屋に向かった。
やはり時間帯は昼のピークを過ぎた時間だ。
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