狂奏曲~コンチェルト~





「かな」

 お兄ちゃんが部屋を訪ねてきた。

「どうしたの?」
「お前、翼とどうなんだ?」
「ん、順調だよ」
「そっか」

 お兄ちゃんが少しだけ寂しそうに笑う。

「順調ならいいんだ」

 そう言って自分の部屋に帰ろうとするお兄ちゃんの腕をはっとして掴んだ。

「どうした?」
「どうしたって、こっちの台詞だよ」

 目を開いて私はお兄ちゃんを見た。

「お兄ちゃん、翼のことは応援するの?」
「俺だって妹の幸せくらい願うんだけど」
「シスコンのお兄ちゃんが?」
「おうよ、シスコン万歳だ」

 お兄ちゃんは私の頭にぽんっと手を置いて、

「俺は翼のことも、かなのことも昔っからよく知ってる。だから、二人ならいい」
「お兄ちゃん……」
「かな」

 お兄ちゃんが突然真剣な顔になった。

「ん?」
「これから、何があっても、お前らなら乗り越えられる」
「……? ありがとう」

 お兄ちゃんの言葉を、そのときは深く考えていなかった。


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