狂奏曲~コンチェルト~



 試験週間が終わって、やっと安心できた私は、久しぶりに翼とのんびりできるとうきうきしていた。
 理学部と工学部の間にある、いつもの場所に向かう途中でふと異変に気づく。

「……?」

 誰かがいる。

「……っ…ひっ……」

 泣いてる……?

 いつも私と翼が過ごしているベンチのところに、見覚えのある姿があった。

「さ……えじまさん……?」
「っ!」

 そこで泣いていたのは、冴島さんだった。
 私の顔を見ると、冴島さんは涙をぬぐって立ち上がった。

「待って!」

 なぜか、彼女を放っておけなかった。
 私が叫ぶと、冴島さんは立ち去ろうとした足を止めた。

「これ……」

 私はハンカチを差し出す。
 冴島さんはきっと私と睨みつけ、その手を払った。

「貴女に哀れまれたくない……!」
「冴島さん……っ」

 ばしっ

「っ」

 冴島さんに叩かれたというのに気づくのに、時間を要した。

「何で今更現れるのよっ……!」
「え……」

 叩かれた左頬を押さえ、驚いて冴島さんを見た。
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