狂奏曲~コンチェルト~





「かなめ?」

 いつもの場所に行くと、かなめが思い悩んだような顔で一人座っていた。
 声をかけると、かなめがはっと顔を上げた。

「どうした?」
「翼……」

 どこか、かなめの様子がおかしい。

「どうした、頭でも痛いのか?」

 かなめは首を横に振った。

「ううん、テストでちょっと疲れたから」
「そっか」
「単位落としたらどうしようって思ってたの」

 かなめが微笑む。
 俺はかなめの頭をなでて、

「かなめなら大丈夫」

 そのとき、かなめが顔を歪めて頭を抱えた。

「かなめっ?」

 頭を抱えて、硬直するかなめ。

「かなめ……?」
「ねえ」

 かなめが、聞いたことのないような低い声を出した。伸ばした手が、止まった。

「私、引っ越す前に翼に出会ってる?」
「っ……」

 俯いたまま呟かれたかなめの言葉に、俺は硬直した。
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