狂奏曲~コンチェルト~
「かなめ……」
俺との記憶が、万が一にも……かなめにとって大切な記憶だったら?
かなめが、記憶を失っていることに気づいて、思い出したいと願ったら……?
俺は、どうすればいい?
かなめが過去を思い出せば、俺はかなめとは一緒にいられない。
だけど、昔の幸せだった頃の記憶は取り戻せるかもしれない。
だが、あの忌まわしい日のことを思い出せば、すべての俺との記憶が忌まわしいものに変わるんじゃないだろうか。
誰か教えてくれ。
俺はどうすればいい?
かなめ、お前はどうしたい……?
俺は、有紀を呼び出していた。
「お、どうした?」
待ち合わせの場所に現れた有紀は、満面の笑みを浮かべていた。
「かなと上手くいってるんだってな?」
「……」
「なんだ、辛気臭い顔して」
俺は、ため息をついた。
「かなめ、自分が何かを忘れていることに気づいたのかもしれない」
「ん?」
有紀が不思議そうな顔をして、俺の正面に座った。