狂奏曲~コンチェルト~
ぼんやりとしながら歩いている俺に、心配そうについてくるほのか。
「ねえってば」
ほのかが呼びかけ、そちらを向いたとき、
「あっ」
俺は誰かにぶつかってしまった。
「すみません」
「ごめんなさいっ」
彼女が落としたかばんを手渡した瞬間、俺は硬直した。
心臓を鷲掴みにされたような衝撃に、呼吸も忘れた。
色を移さなくなった灰色の瞳を見開いた。
自分で自分の目が信じられず、呆然とする。
時間が、止まったように感じた。
「か……なめ……?」
驚いたように俺を見た彼女は、灰色の視界の中でも色あせることのない――かなめだった。
どくんと、異常に心臓が暴れだす。
まん丸の瞳を見開いて戸惑ったように俺を見ているかなめ。