狂奏曲~コンチェルト~
俺を見つめた、知らない他人を見る目。
この人は誰だろうと、訝しげに歪められた表情。
そしてなにより――灰色に染まってしまったかなめ。
俺は俯いた。
自業自得なのは百も承知だ。
それでも、納得できるかと訊かれたら言葉に詰まる。
かなめを手に入れたい。
この思いは昔から変わっていない。
かなめだけを想い続けているから。
でも、俺にその資格もなければ、かなめは俺のことなどこれっぽちも覚えていないのだ。
「反応も何も、他人を見ている目で見られた」
それ以上を望んではいけない。
「……翼、かなには今付き合ってるやつがいる」
「…………」
「それにかなは……」
「俺のことなんて覚えてない」
俺は、頭を抱えた。
「頭ではわかってた。かなは俺のことなんて覚えてないって。だけど、実際目にすると……」
「翼、お前はどうしたいんだ?」
俺は有紀の言葉の意図がつかめず、有紀を見た。
有紀はまっすぐと俺の瞳を見つめていた。