狂奏曲~コンチェルト~
「お前はどうしたい」
「何を……?」
「かなと」
有紀の言葉に、ずくんと雷に打たれたような衝撃を覚える。
「……何を言って……」
「俺はお前が自分を責めていることくらいわかってる。だけど、そんなに傷つくことないだろ。もう、充分だろ」
俺は信じられないものを見るように、有紀を見ていた。
この男は、気が狂っているのだろうか。
最愛の妹を壊した俺を、こうやって受け入れる――。
「……俺は、かなめをレイプしたんだぞ……?」
「でも、かなはそれを覚えてない」
「覚えてないからってなかったことになるわけじゃないだろうが!」
狂ってる。
何もかもが狂ってる。
あの事件を忘れてしまったかなめも、
こうやって俺を受け入れる有紀も、
俺に付きまとって離れないほのかも、
何もかも狂ってる。
そして一番狂ってるのは、それでもかなめを手に入れたいと願ってしまう俺自身だ。
有紀は携帯をいじりながら俺と話をしている。
緊張感の欠片もないその行動に、吐き気を覚える。