狂奏曲~コンチェルト~
「俺は、お前がかなを傷つけたことを許すわけじゃない。だけど、お前を責めてもいない」
そんな有紀の静かな言葉に、俺は耳を傾けた。
「あのことがあって、俺は自分自身を責めた」
「有紀……?」
「俺は、お前の気持ちを知っていた。お前は俺の親友で、そしてかなは俺の妹だった。それなのに、俺には何もできなかった」
有紀の手元を見やると、力いっぱい携帯を握り締めているのに気づかされる。
何も考えていないわけじゃない。
何も感じていないわけじゃない。
ただ、有紀はそれをうまく隠すだけの理性を持っているだけ。
俺は自分だけが罪を感じていると思っていたけれど、有紀だって傷ついていた。
「だったら……余計俺とかなめが近づかないほうがいいんじゃ……」
「俺はかなにお前のことを思い出してもらいたい」
「!」
死刑宣告にも似た、有紀の言葉。
俺はそのまっすぐな瞳から目をそらすことができなかった。
「お前……かなめにとっては忘れてたほうが幸せだろうが」
「確かにそうかもしれない。けど、かなは過去から目を背けてるだけだ」
「何言って……」
「お前がそれだけ過去を背負ってるのに、どうしてかなだけが逃げていい?」
有紀の口から出る、かなめを責めるような言葉。