狂奏曲~コンチェルト~
「ふざけるな。あのことに、かなめはなんの責任もないだろ」
有紀の気持ちが、わからない。
「俺は、かなに乗り越えてもらいたいんだ。目を背けるんじゃなくて」
「……それでも忘れていたほうが幸せだろ」
あんなおぞましい過去を、わざわざ思い出さなくてもいい。
俺だけがその過去を背負って、生きていけばいいんだ。
「お前もかなも、あれから前に進んでない」
「…………」
「お前ら二人の時間は、あのときから止まったまんまだろ」
核心を突くような、有紀の言葉。
確かに俺は、前に進んでいない。
だけど、かなめは笑顔を取り戻しているのに。
「俺はまた、昔みたいに三人で笑いあいたい」
「……かなめが過去を思い出して、笑えるわけないだろ」
「いや、俺はかなめは過去を乗り越えられると思ってる。俺はお前を受け入れると思ってる」
「そんなの理想だ」
吐き捨てるように言った俺。
そのとき、人の気配が俺達の方へと近づいてきた。