狂奏曲~コンチェルト~
「ねえ、お兄ちゃん、二階堂さんって髪染めてるの?」
家に帰る途中、車の中でお兄ちゃんに尋ねた。
「ん? 翼?」
「うん」
「なんだ、気になるのか?」
お兄ちゃんはにやりと笑った。
二階堂さんのことになると、お兄ちゃんが少しおかしい。
いつもなら私が他の男の人の名前を出しただけで嫌な顔をするのに、二階堂さんの話は平気みたい。
この前だって、私に「仲良くしてやって」なんて言ってた。
地元のお友達って言ってたけど、その頃から親しかったのかな。
「気になるっていうか、気にならない人はいないんじゃないかな? 凄い色だし、目立ってるもん」
二階堂さんは整った容姿をしてる。長身痩躯に、灰色の髪。青く輝く灰色の瞳。
そして、彼の雰囲気。
どこか寂しげで、何もかも諦めてしまったような、そんなけだるげな表情。
「あれ、染めてるわけじゃないんだと」
「え……?」
予想外のお兄ちゃんの言葉に、私は間抜けな声を出した。
「若年性白髪なんだって」
「……え、それって?」
「ストレスとかが原因だろうよ」
あまりの答えに、私は唖然とする。