狂奏曲~コンチェルト~



「つばちゃん、遅いよ!」

 毎日、かなめは俺と一緒に学校に行く。
 昨日怒らせたのが嘘のように、にこにこ笑っている。

 かなめはいつもそう。
 俺がどんな言葉でからかっても、すぐに許す。

 そんなかなめが、愛おしい。

「ごめん」

 俺は先に歩き出したかなめの隣を歩く。

「つばちゃんは背が伸びちゃったね」
「お前はあんまり変わらないけどな」

 小学生の頃はほとんど同じだった身長も、中学も三年になると頭一つ以上俺がかなめより高くなった。
 かなめは俺を見上げて、はにかんだように笑うと、

「やっぱり私、つばちゃんの目が好きだな」

 俺の目を覗き込んでくる。

「なんだよ、いきなり」

 そんな無邪気な笑顔が、可愛くて、顔が赤くなったことがばれないように顔をそむけた。
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