狂奏曲~コンチェルト~

「翼ってば!」

 それでも……、

「教えてくれよっ!」

 校舎を出たところで、俺は叫んでいた。
 ほのかは驚いて俺を見た。

 煮えくり返るような感情が俺の中で渦を巻く。

「教えるって……何を」
「俺の感情を、どうすればいいか!」

 気づけば、爪が食い込むほどに拳を握っていた。
 頭が痛くなるほど、歯を食いしばっていた。

「ずっと……ずっとずっとあいつだけを想ってきたんだよ!」
「ちょっと、翼……」
「お前に何がわかるんだよ!」

 自分ではどうにもできない苛立ちを、ほのかに向ける。
 ほのかが、ショックを受けたように俺を見ていた。
 通りかかったやつらが、何事かと視線を向けるけど、そんなことはどうでもよかった。

「お前に、俺の何がわかる」

 俺はそう言い残して、その場を去った。


 ずっと、かなめだけを想っていた。
 狂いそうになるほど、愛していた。
 愛しすぎて壊してしまうほど、好きだった。

 かなめのいない五年は、自業自得だとしても空っぽだった。
 文字通り灰色の世界の中にいた。
 目の前にはいなくても、それでも、かなめだけを想い続けていた。

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