狂奏曲~コンチェルト~



「よ、色男」
「冗談はよせよ」

 有紀はにやにやと笑いながら待ち合わせの場所に来た。
 俺はふっと口元をほころばせる。

「なんだ、お前いい顔になったじゃないか」
「ん?」

 有紀が嬉しそうに目を細めた。

「今のお前見てると、生きてるってわかって安心する」
「なんだそれ」
「再会したとき、お前の目死んでた」

 そう言って、俺の頬をつねった。

「吹っ切れたんだろ、かなのこと?」

 有紀の言葉に、俺は小さく肯いた。

「正直、俺に何ができるのかはわからない。だけど、かなめに近づきたい。昔みたいに、笑いあいたい……」

 俺の言葉に、有紀は破顔した。

「かな、お前のこと気にしてる」
「え……?」

 意外な言葉に、俺は間抜けな声を出した。

「なあ、翼」
「なんだよ、改まって」

 有紀はなんとも言えない顔になり、

「怖がるな」
「…………」
「かなが過去を思い出すことを、怖がるな」

 俺は、口を閉ざした。
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