狂奏曲~コンチェルト~



 二階堂さんが立ち去ると、香織が興奮したように、

「二階堂さんって、すっごい格好良いね!」
「え、うん」

 心ここにあらずの私の返事に、香織は顔をしかめて、

「そりゃかなめにとっちゃ、金津君が一番だろうけどさ!」
「うん……」

 二階堂さんといると、なぜか暖かい気持ちになれる。
 懐かしいような、そんな感覚。

 それに、二階堂さんでもああいう風に笑うんだと思うと、なんだか少し安心した。
 でもすぐに悲しそうな顔をしてた。
 なんで、あんな顔するんだろう。



 お兄ちゃんからメールが届いたのは、土曜日の夜だった。

『明日、朝十時、駅前で待ち合わせな!』

「……なんだこれ」

 お兄ちゃんは休みとかになると、バイトばっかりしていて家にいない。
 たまに、こうやって『デート』のお誘いのメールが来る。
 お兄ちゃんは夜のシフト明けで、バイト先から来るんだろう。
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