狂奏曲~コンチェルト~

「いいのっ」
「え?」
「お兄ちゃんが私を男の人に会わせるなんて、滅多にないことだもん。せっかくだから楽しむ!」

 私の言葉に、二階堂さんは笑った。
 その嬉しそうな顔に、私も安心して笑った。

「それじゃあ、どこに行こう」

 二階堂さんは、ちょっと考える顔つきになった。

「二階堂さん、特に行きたいところとかは?」
「考えてこなかった」
「ですよね」

 二階堂さんはじっと私を見た。

 どきっ……

 綺麗な瞳に見つめられ、不覚にも胸が鳴る。

「呼びづらくない?」
「えっ?」
「名前」

 名前?

「二階堂さん、って呼びにくくない?」
「あ、はい、まぁ……」
「っ……素直だな」

 二階堂さん、今絶対吹いた。
< 73 / 301 >

この作品をシェア

pagetop