狂奏曲~コンチェルト~
「わ、笑わないでよ」
「ごめん、あんまりかなめが素直だったから」
ぽんっと、二階堂さんが私の頭の上に手を置いた。
「っ!」
だけど、二階堂さんはすぐにその手を引っ込めた。
私は驚いて二階堂さんを見た。
「あー……ごめん、癖なんだ」
「別に気にしないよ」
驚いただけ。
そう、驚いた。
あまりにも自然に乗せられた手が、心地よかったから。
「翼でいい」
「へっ」
「名前」
翼……か。
確かに、二階堂さん、よりは呼びやすい。
「翼君?」
試しに呼んでみると、二階堂さん……もとい、翼君はむず痒そうに、
「君付けで呼ばれたことないから、気持ち悪い」
と、苦笑した。
「そういえば、近くの喫茶店で期間限定パフェが食べられるんだって、お兄ちゃんが言ってたな」
「行きたい?」
「うん」
私達はその喫茶店に向かった。
【あーす】って名前のその喫茶店は、数ヶ月前に雑誌に載って有名になった。なんでも、アプリコットって小説家のお気に入りの場所だとか。
本当に近くだったから、何気ない話をしながら二人して歩いていたんだけど、たまに翼君が速度を緩めるのに気づいた。