狂奏曲~コンチェルト~
どうしたんだろうと不思議には思ったけど、特に気にもとめなかった。
「あ、ここだ」
私達は【あーす】に入った。
隠れ家のような可愛らしい喫茶店で、期間限定パフェにありつきたいお客であふれかえっていた。
「人多いね」
「そうだな」
ウェイターさんに案内されて、席に座った。
そのとき、正面の席に座っていた女の子の横顔に目を引かれた。
だぼっとした帽子から出た薄い茶色の髪に、大きな、真っ赤な瞳。
その女の子が見つめるのは、正面に座った男の人。
お互い、優しい顔で見つめ合ってる。
「凄い……」
「何が?」
小さい声で感嘆の声を漏らしたのに、翼君が気づいた。
「え、ほら見てみて。あの子」
それは、些細な言葉だった。
翼君はちらりと女の子に視線を向けて、不思議そうに首をかしげた。
「あの子がどうかした?」
「え? だって、目の色が……」
そこまで言って、はっと口をつぐんだ。
翼君には、色がわからないんだ。
いきなり黙った私に、翼君は微笑んで首を横に振った。