狂奏曲~コンチェルト~
「気にしない。ほら、食べたいものを注文しろよ」
「うん……」
私は軽いサンドウィッチとパフェを頼み、二階堂さんもランチを頼んだ。
「それで、何色?」
「えっ?」
「あの子の目、何色なんだ?」
そうやって尋ねる翼君は、少しも悲しそうではなかった。
単純に興味を持ったようだ。
「真っ赤なの」
「へぇ、それは珍しいな」
翼君は普通に感嘆しているけど、私はそんな気分にはなれなかった。
思い返せば、翼君が歩調を緩めたのは、信号の前じゃなかった?
浮かない顔をする私に、翼君は苦笑した。
「気にすんな。これはかなめのせいじゃないだろ?」
そう言った、翼君の顔が翳ったのはどうしてだろう。
やっぱり、私は翼君を傷つけた?
「ごめん……なさい」
「謝るなよ」
謝った私に、翼君は驚いたように目を見張った。
「そんなに気を使わなくていい」
「でも……」
「いいから」
私はまじまじと翼君の顔を見た。
ときどき青く光る、綺麗な灰色の瞳。
灰色に染まってしまった髪の毛。
人から見たら、翼君の姿は奇異に映るのかもしれない。