狂奏曲~コンチェルト~
「美味しかった?」
「うん、すっごく美味しかった!」
【あーす】を後にした私達は、何気なしに歩いていた。
「これからどうする?」
「どうしようっか?」
私が変なふうに身体をひねらせたときだった。
「危なっ」
「きゃっ」
足をもつれさせて、倒れ掛かったところを、翼君が支えてくれた。
気づいたら、翼君の腕の中にいた。
どきっ……
「ご、ごめ……」
「いや……」
ずき……
「いっ……」
「かなめ……?」
真っ赤になりながら翼君から離れた瞬間、激しい頭痛が私を襲った。
その場にうずくまるようにして頭を抱えた私を、翼君が驚いて支えた。
頭の中で走った閃光。
つまずいてしまった私を、支えてくれた暖かい腕。
その人は、黒い靄に包まれていて、顔がわからなかった。
ぎゅっと閉じていた目を開くと、心配そうに私の顔を覗き込む翼君と目が合った。