狂奏曲~コンチェルト~





 かなめと一緒に過ごせた日曜は、空虚だった俺の日々を確かに満たしてくれた。

『で、デート、どうだった?』
「お前な、こういうことなら最初から言え」
『言ったら、お前行かなかっただろうが』

 電話で文句を言う俺。

 その日、有紀が付き合ってほしいと言ったことを疑いもしなかった。
 待ち合わせの場所にかなめが現れたとき、しまったと思った。
 だがそれよりも、一緒にいられるだけで俺は幸せだった。

 もしも、有紀が最初からかなめと出かけろと言っていたら、おそらく俺は承諾していなかっただろう。
 そこまでする勇気は、俺にはなかった。

『楽しかったか?』
「……楽しかった」
『そうか、よかったな』

 電話越しにも、有紀の目が優しく細められたのがわかった。それくらい優しい声だった。

 今でも、有紀の感情はわからない。
 なんで、俺を責めないのか。
 なんで、俺とかなめが会う手はずを整えたりするのか。
 なんで、かなめに俺達の過去を思い出して欲しいのか。
 考えども、有紀の考えていることがわからない。

 大事な妹を壊した男を、こうも簡単に受け入れられるものだろうか?
 大事な妹を、簡単にその男のもとへと向かわせることなどできるものなのだろうか?
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