狂奏曲~コンチェルト~
『また、余計なこと考えてるだろ』
有紀が呆れたような声を出した。
「ん?」
『お前は難しいこと考えすぎだ』
そういう有紀は、楽観視しすぎじゃないだろうか。
また俺が、かなめを襲うとは思わないのだろうか。
『黙ってるってことは、そうだろ』
「……るさいな」
『あのな、翼。俺ら、ガキんときから一緒にいたろ?お前がどう考えるくらいわかる』
有紀の諭すような言葉。
俺はそれを鼻で笑って、
「俺はお前の考えてることが全然わかんねぇよ」
『お前が俺のことわかんねぇって思ってることくらいお見通しだ』
「けっ、いけ好かないな」
口ではそう言いながらも、こうやって有紀と言い合えることが嬉しかった。
あの日から、かなめも、親友である有紀も失った俺。
その二人が、また俺の世界に帰ってきた。
それは、奇跡のような出来事なのかもしれない。