狂奏曲~コンチェルト~

『俺は、お前とかなが上手くいけば、お前ら二人とも過去を乗り越えれば、案外何もかも上手く行くような気がする』
「お前のその楽観主義が羨ましいよ。じゃあ、また」
『ああ』

 俺は電話を切った。

 過去は、変えられない。
 俺が弱虫で、自分の想いをかなめに伝えられなかったばかりに、何の罪もないかなめを傷つけた。
 真っ黒い嫉妬に飲み込まれて、我を失った。
 過去を変えられないのなら、俺はどうやって前に進めばいいのだろうか。

「かなめ……」

 汚されてもなお、笑顔をふりまくかなめ。
 俺の色のない世界の中で、唯一存在感を持つ彼女。

 幼い頃から、かなめだけを想いつづけていた。
 そして、今も変わらず俺はかなめだけを想っている。
 俺のかなめへの想いは一方通行で、交わることがない。

 もしも、かなめと相思相愛になれたら?

 俺の未来は変わるのだろうか。
 かなめをもしも、手に入れられたら、俺の世界に色は戻ってくるだろうか?

 そして、かなめが全てを思い出したら?
 俺は二度と立ち直れないほどの絶望を味わうのだろうか。


 過去を変えられないのなら、未来に夢を馳せるしかない。
 その夢を実現に近づけるには、今何かをしなくてはならない。

 かなめの心を、手に入れたい。


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