狂奏曲~コンチェルト~
「はぁ、今日物理あるんだったぁ」
かなめの呟きを聞き逃さなかった。
「あれ、かなめも物理とってんの?」
「え、うん。でも、全然わかんないの」
かなめは身体をひねらせて俺のほうに身体を向けた。
可愛い。
「教授誰?」
「平山教授だよ」
「へぇ、俺は島根教授」
教授が違うのか。
かなめは顔をシートにうずめて、
「試験近いのに、絶望的だよ……」
「んだよ、翼に教えてもらえばいいだろ」
「え」
かなめが、すがるように俺を見た。
「今度、教えてもらっても、大丈夫?」
かなめにそんなふうに頼まれて、俺が断れるわけがない。
「わかった」
「やったぁ」
えへへと笑うかなめは、無邪気で、あの頃と変わっていないようにも思えた。
そんな話をしている間に、車はあっという間に大学についていた。