狂奏曲~コンチェルト~

「……っ……」

 自分でも気づいてる。
 私は、翼君に惹かれている。

 自分でもわからないけど、翼君といるとなぜか暖かい気持ちになれる。
 素の自分のまま、素直に笑える。
 居心地が良くて、溺れそうになる。

 でも、私には新という彼氏がいる。
 翼君には、想ってやまない彼女がいる。

 痛くて、痛くて、仕方なかった。

 そっと私に触れた翼君の手。
 私はその痕跡をたどるように自分の頬に触れた。


 黒い影は、私のことをじっと見つめて、その手を私の頬に伸ばした。
 私は黒い影に触れられ、どきりとする。
 黒い影は、はっとしてその手を引っ込めた。


 黒い影は、心なしかお兄ちゃんに似ていた。


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