シュガーレスキス
「試すっていうのはルール違反だとは思うけど。記憶を短期間に戻すなんて、やっぱり難しいと思うし」

 健太らしい答えだった。
 現実的に聡彦の本心を知るには、一度私という束縛から解放してあげるのがいいのかもしれない。

 でも、やっぱり聡彦を試すような事はしたくない。

「……なんてね。僕はリアリストだし、こうやって客観的な事を言ってるけど……本当は菜恵ちゃんの事をこんなに苦しめてるツンデレを一発殴りたいっていう気持ちの方が大きいんだよ」

「健太」

「菜恵ちゃんってマジ罪深いっていうか……今更だけどね」

 健太は私に何か言いたそうにしたのを我慢して口をつぐんだ。

 料理を食べ終わって、私達はレストラン前ですぐ別れた。

「ありがとう。健太に話を聞いてもらえて少しスッキリした」

「いや、僕は全く役に立たないよ。菜恵ちゃんが必要なのはツンデレだけなんだって話してて良く分かったし……。とにかく、ライバルに譲ろうなんて馬鹿な事だけは考えるなよ?」

「うん。それだけは、しないと思う」

 健太は明るく手を振って、そのまま仕事に戻っていった。
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