シュガーレスキス
 ゆっくりアパートへ戻る道を歩きながら、今後の自分を考えた。
 聡彦と一緒に生きたいと思う。
 彼と一緒に子供を愛したいと思う。
 今、それは確実にかないそうなんだけど……やっぱり少しだけ不安だ。

 聡彦自身が「俺の子供じゃないんじゃないか」という可能性を1%でも持っていたらどうしよう。
 そんな疑問を抱えたまま結婚して、後々溝の原因にならないだろうか。

 健太の前では明るく振舞ったけど、結局また涙が出そうになっている。

「聡彦……早く全ての記憶を持って戻って来て。お願い……」

 歩くのを止め、木陰で少し休んだ
 俯いていると、勝手に涙がポトンポトンと落ちる。
 聡彦は私を選んでくれて……入籍の事だって彼から言い出してくれた。
 “責任感だけで結婚しようとしているのか”という私の不安を怒ったりもしてくれた。

 だけど……彼の真相心理は分からない。

 しばらくそうやって木の下でしゃがみ込んでいると、ふっと人影で暗くなるのを感じた。
 顔を上げると、久しぶりに見る如月さんが立っていた。

「何で泣いてんの。舘さんには、もう二度と君を泣かせるような事はするなって言っといたんだけど」

 そう言って、彼はちょっと怖い顔をした。
 多分私の様子を見る為に、仕事中に少し立ち寄ってくれたに違いない。
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