シュガーレスキス
 確かに「ルール2」と「ルール3」に反かもしれないけど、実際それほど重要な裏切りをした訳ではない。
 なのに、聡彦は完全に怒りモードに入っていて、それっきり口を利いてくれなくなった。

 朝起きた時も、すでに聡彦は出かけてしまっていた。
 テーブルに置き手紙がされていて“しばらくあっちのアパートに帰る。菜恵からの連絡は一切受け付けない”と書かれていた。

「あー……、八木さんとアイス食べただけでこれかあ。キスぐらいじゃ許してもらえないんだ」

 私はガクッと首を垂れた。
 せっかく最近うまくいっていて、お互い変な疑いとか持たないで過ごせていたのに。

 私が悪いんだろうか。

 仕事のついでに立ち寄ったアイス。

 逆のパターンを考えよう。
 聡彦が企画の女性とアイスを食べる…………。

 あり得ない。
 そういう絵が全く思いつかない。

 でも、こんなに怒ってしまったのを考えると多少落ち込む。
 どうやって彼のご機嫌を戻したらいいのか分からない。
 怒りがおさまるまでじっと待つしか無いんだろうか。
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