麗しの彼を押し倒すとき。




「え!恋汰(れんた)ってなっちゃんの従兄弟だったの!?」


翌日の昼休み、私はおにぎりを口にしながら、旧校舎のあの教室で叫んだ。

明日からここへ来い。その凪の言い付け通り、私はお昼のチャイムが鳴ると同時に旧校舎へと足を運んでいた。

まぁ、来いと言った張本人の凪は、まだこの場にいないみたいだけど。



「しかも年下!?あんたその見た目して高一なの?」


驚きで思わず立ち上がった私に、目の前で同じく昼ごはんを食べていた剃り込みの男が迷惑そうに顔をしかめる。


「うるっせーな。気付くの遅いんだよボケ女」


仮にも先輩であるのに、この言われようは何なんだろう。

私は容赦なくガン飛ばしてくる剃り込みの男、もとい相馬恋汰の素性に、カナヅチで頭を殴られた気分になった。


……どう見ても似ていない。

その厳つい風貌に、あのキュートな見た目のなっちゃんと同じ血の流れる従兄弟とは、とても思えなかった。

強いて似てると言うならば、口の悪さや平然と毒を吐ける所だけだろうか。


「つーか飯食ってるときに騒ぐなよ」


そんな見た目のくせに正論を言うものだから腹が立つ。

私は静かに席に座ると、もう一度おにぎりにかぶりつく。



「恋汰って……名前に恋って入ってるのに全然可愛くない」

「柚季よりは可愛いと思うけど」


仕返しも込めて嫌味ったらしく言ってみたけど、どうやら彼には通用しないらしい。

それどころかサラッと嫌味で返されてしまった。

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