麗しの彼を押し倒すとき。



……まぁ、いずれこうなることも何と無く分かっていた。


放課後、下駄箱の前。

私は自分のロッカーを開けて、小さな溜息をついた。

みんなと関わると決めた時から、覚悟はしていた。だけど実際目の当たりにすると、意外と精神的にくるものらしい。


つくづく人間って、女って面倒くさいと思う。いや、これをやったのが女とは限らないけれど、ここに至るまでの犯人の思考は大体想像つく。

ローファーの中に仕込まれた画鋲と、ロッカーの内側に貼られた紙。そこには “消えろ” と一言、赤のペンで書かれていた。


「……久々だ」


似たような状況は以前にもあった。

そう、あれは中学のとき。転校先で一番最初に仲良くなったのは、クラスで一番の人気者らしき男の子だった。

今考えればその子は、イケメンと言うほど顔が整っているわけでもなかったと思う。だけど何より優しくて性格が良かった。

そんな人だからこそ、転校してきたばかりの私を放っておけなかったんだと思う。


……けれど、それが裏目に出た。

女子からしたら突然やって来た転校生に、自分たちの人気者を取られたようで面白くなかったんだと思う。

いつからか私は、ハブられるようになった。

結局次に転校するまでの半年間、私はその学校で馴染めないまま過ごした。

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