麗しの彼を押し倒すとき。
「ごめん知らなかった!早く洗おう!」
急いで椿の手を引っ張ると、それ以上の力で引き戻された。
それが何だか拒絶されたようで、さみしくて。
「……このままで大丈夫」
「でも、」
「悪い……そんな顔させるつもりなかった。 絆創膏取ってくる」
よほど今の心境が、私の表情に映し出されてしまってたんだろう。椿は安心させるように軽く笑うと、私の頭を撫でてから家の方へ歩いて行った。
その背中は何故か酷く悲しそうで、いつでも完璧な彼の弱さを感じられて。
不謹慎ではあるけれど、もっと弱さを見せて欲しいと思ってしまった。
だって私を羨ましいと言ったその言葉は、とても嘘とは思えなかったから。