麗しの彼を押し倒すとき。
「柚季、これは灰?」
「玉ねぎ!」
「んじゃこっちは炭?」
「かぼちゃ!」
太陽が沈みすっかり暗くなった空の下、私はトングで黒くなった椎茸を挟みながら叫んだ。
……こんなはずじゃなかった。
網の上で出来上がった黒い物体の数々に、思わず深いため息が出る。
頑張って火を起こしてくれたみんなのために、張り切って野菜を焼き始めた、それまでは良かった。
けれど野菜たちはあれよあれよと日焼けしていき、私がひっくり返す頃にはこんがり小麦色を通り越し、真っ黒焦げになってしまっていたのだ。
「ボケな上に料理できないって…救いようないね」
割り箸で丸焦げになった人参を挟みながら、なっちゃんが最高にトゲのある言葉を私に落とした。
あぁ…ダメだ。いつもならここで言い返すところだけど、今回ばかりはすぐに立ち直れない。
人参からしてみれば、一生の終わりでガリガリにされ、丸焦げにされ、それは最悪な最期だっただろう。
「ゆ、柚季っち、やっぱりBBQは男の仕事だよ。ごめんね熱かったでしょ?」
波留くんが優しく声をかけてくれる。
けれど、その手はさりげなく私のトングを奪い、さっさと焼き作業を引退しろと告げてくる。