空の果てへ


「なぁ、玖於。おめぇだけは、死ぬな」



何か、感情を押し殺したような声で、土方さんは俺に言った。


まるで、不安に押し潰されそうになっているような。


自分を、責めているような。


そんな感じだった。


土方さんが思いつめている間にも、事はちゃくちゃくと進んでいる。


俺達の周りも。


運命の歯車も。


全て、少しずつ変わっていっていた。




『――――俺の命は、会津と共に』



真夏に咲く、桜のように。


皆、命を咲かせ、そして散らせていった。


これは、斎藤一という新撰組の心の支えを失った。


そんな暑かった夏の、一記録。


< 118 / 221 >

この作品をシェア

pagetop