空の果てへ


ぼんやりとした頭で、それを手首に近付けていく。


これで、償えるのか。



「・・・まあ、やってみないと分からない、か」



プツッと、音がした気がする。


それとともに、畳に赤い雫が落ちた。


フッと、口元に笑みが浮かぶ。


そのまま、壁にもたれ座り込んだ。


部屋には、誰もいない。


土方さんも、土方さんの小姓の鉄之助君も。


< 86 / 221 >

この作品をシェア

pagetop