鐘つき聖堂の魔女


「そういえば砂糖がまだだった。リーシャ、そこの砂糖入れてくれる?大さじ三杯くらいは入れていいよ」

鍋番以外に仕事をもらえると思ったリーシャは肩を落としながら砂糖が入った瓶を手に取る。

そして、ライルの指示通り大さじの方で砂糖をすくい、鍋に注いでいく。

今まで料理はライルが全てしていたため、こんな単純な作業しか任せてもらえないのはしょうがないことだ。

否、料理どころか、掃除や洗濯全てにおいてライル任せだ。

それが当初、ライルがこの家に住まうための条件だったといわれればそれまでだが、リーシャは少しずつ焦りを感じ始めていた。

今まで世間とは少しずれていたため気にしなかったが、世の女性は料理はもちろん家事における全てのことをするものだということをまざまざ感じるのだ。



最近、ライルの収入が立ってきたのか、材料も自分で買ってきてしまうし、あとから材料費を出すといっても絶対に受け入れてくれない。

ライルもオルナティブで働くようになって昼から入ることも多くなり、夜はリーシャよりも遅くなることも少なくない。

そんな中、朝は必ずワンプレー、お昼はお弁当を持たせてくれるし、いくら遅く帰っても晩御飯を作ってくれるのだから、さすがに何もしない自分が申し訳ない気持ちになる。

早く料理を上達させて、ライルにも任せてもらえるようになればライルの負担も減る。




(料理ができるようになったらライル驚くだろうな)



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