鐘つき聖堂の魔女


「魔法を破るなんて魔女か魔術師しか考えられないわ。魔術師何人がかりか強力な力を持った魔女じゃないと破ることは出来ない」

アリエラもリーシャと同じ考えが頭に浮かんでいたらしい。

その昔、魔女の起源ともされている太古の魔女は杖一振りで世界を支配できる程の力を持っていたとの言い伝えがあるが、それは伝承でしかない。




「仕掛けた魔法の全てが跡形もなくやられたとあれば、アリエラ様のおっしゃるとおり魔女の仕業かもしれませんな」

「現場の検証は済んだのか?」

ロードメロイの追及にヴァイスは待っていましたとばかりに報告書を捲る。



「索敵魔法が反応した場所から捕獲魔法が消滅させられた場所までの検証は済んでおります。現場から馬の足跡が三頭分見つかったことから、おそらく対象は三名。対象はネイアノールから我が国に向かって移動し、森の中で消息を絶っています」

「ヴァイス大佐、対象の目的は何だと思う」

ロードメロイが難しい顔をしたままヴァイスに問う。



「我が国への密入国以外に考えられませんな。密入国後の目的は不明にしろ、闇に紛れて我が国に入国するだけのやましい理由はあったんでしょう」

「そのやましい理由を抱いた者は少なくとも魔女ではないだろうな。魔女なら馬を使わずに飛んでくるだろう」

「しかし、ロードメロイ様。魔女でなければ魔法を消滅させることなどできませんわ」

ロードメロイの推察に一瞬納得しかけた場も、アリエラの意見によって根本的な問題に返る。




しかし、ロードメロイはそれすら覆す答えを持っていた。


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