好きだって言ってんだろっ。

再会

仁がこの学校に転入してきて丁度2週間が経った今朝も、

仁は女子の歓声を浴びながら登校し、

友人の海斗と教室に向かいながらたわいのない

話をしながら廊下を歩いていた。

「なぁ仁。お前この前の自己紹介の時好きな女を追いかけて来たって言ってただろ？あれって誰のことなんだ？」

「あぁ、佐藤樹里だよ。ガキの頃からの腐れ縁でな。海斗お前さ。樹里のクラスとか知ってたりしない？」

「おい、おい。佐藤樹里ちゃんって言ったか？
へぇ、お前樹里ちゃんを追いかけてきたのか。確かそのクラスに俺の知り合いがいるから今行ってみようぜ。」

「まじで!?あんがい頼りになるなお前。」

「あんがいは余計だっつーの!!」

そんなこんなしているうちに俺たちはアイツのクラスに着いた。

「いま樹里ちゃん呼んでもらったからちょっと待ってろよ。」

「おう。サンキュー。海斗。」

しばらくすると、教室の中からアイツが出てきた。

「あの・・・。私に用事がある人ってあなた？」

教室から出て来たアイツは昔とは全然違っていた。短かった髪は長くなっていてオレンジっぽい茶色で染まっていて、サラサラの長い髪を毛先だけ緩く巻いていた。

あまりにアイツが変わっていたので俺は、話しをせずに突っ立っていた。ボーっとしていると 隣にいた海斗から頭を叩かれた。とても痛かったので睨んでやると、海斗は走って逃げ出した。

「あの・・・。どなたかわからないけど、要件は？」

「・・・。お前、俺のこと覚えてないんだな。」

「ごめんなさい。名前教えてもらえる？」

「・・・。仁。・・・。高梨仁。」

「高梨仁君？・・・。!!!!まさか小さい頃から私をいじめていた、あの・・・？」

「っ!?俺は、お前にあやま・・・。」

「いや、やめてっ!!!」

俺が謝ろうとした途端樹里はでかい声を出し、
震えながら俺を突き飛ばした。

その時のアイツの表情は明らかに俺を怖がっていた。

「おい・・・。」

「もう、来ないで。あなたなんて大嫌いっ!!」

樹里は、泣きそうになりながら教室へ入っていった。