好きだって言ってんだろっ。
強い想い

樹里に大嫌い!!と言われて1週間、俺はまだ

立ち直れないでいた。

そんなこともしらずにクラスの連中は海斗が中心になって

樹里とのことを聞いてくる。

俺は、樹里とのことの質問に答えるのは正直

今、一番つらい。そっとしておいてほしい。

目を閉じるだけで、この前の恐怖に怯えたアイツが頭の中をいっぱいにする。

謝ることすらさせてもらえなかった・・・。

自分の気持ちも伝えずに・・・。

アイツが・・・。樹里が好きなのに。

でも、アイツは俺のこと大嫌いなんだよな。

俺は、好き。アイツは大嫌い。ははっ。

なんでだよ。気持ち伝えたいのに・・・。

伝えたいのに、伝わらない、伝えられない。

アイツのこと、忘れるしかないのか?

でも、忘れられる訳がない。

きっと俺は、アイツを忘れることすら出来ない。

俺は、アイツを・・・。




「愛してるっ」

俺がいろんなことを考えている時も見ていたのか。

教室の中の人が一斉にこっちを見ていた。

みんなが俺を見て驚いている。その中でも海斗が一番驚いた顔をしていた。

「えっ?おっ、おい!!何泣いてんだよ!?」

自分でも驚き手で頬を触ると涙で濡れていた。

「今、仁君愛してるって言ってたよ?」

俺の近くの席の女子が言った。

「おい、仁大丈夫かぁ?」

海斗が心配そうに尋ねてきた。

「あぁ、わるい。ちょっと・・・な。」

「大丈夫ならいいけどよー。はー。まじ、びびったぜー?」

「悪かったな。・・・。俺、アイツのとこ行ってくる。」

「おう!!頑張れよ!!」

なんで海斗には、分かってしまうのだろう。

海斗は俺の言いたいことや、思ったことがすぐに分かっちゃうんだよな。

まぁ転入してきてからずっと一緒にいるし、

少しは分かってしまうのかもしれないけどよ。

いろいろ考えているうちにアイツのクラスに着いた。

教室にアイツは居なかった。

授業と授業の間の休憩だから仕方ない。

移動教室だったっぽいし待つか・・・。

しばらくして樹里が同じクラスの友人と自分の教室へ向かって歩いてきた。

アイツは俺を見つけると逃げようとしたが
一歩遅く、俺が樹里を捕まえる方が少し早かった。

俺は、アイツをまぁ世間ではお姫様抱っこと言われている持ち方をし、教室の前ではちょっと・・・。と思い、俺のお気に入りのサボリ教室へ向かった。



< 4 / 8 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop