あなたのキスで世界は変わる
ズキズキ痛む胸に手を当てた。
扉を閉める先生の背中。
触れたい。
早く、早くあなたに触れたい。
待てない。
…手を伸ばせば触れられるのに…。
先生は私の精神安定剤。
先生がいないと生きて行けないの。
これは愛情?
……いや、違うな。
「なに、どうしたの?」
「ごめん、今日さ仁美が家に来ることになったんだ」
うん、違うに決まっている。
私は先生を絶対に愛したくない。
先生は私を見ないって分かってるから。
だから、あの女と会うって聞いて
傷つく必要性なんてないんだ。
一切。
「……わかった。今日は家に帰るね」
「悪い。今度埋め合わせするから」
ーーなんの?
別に求めてないよ、そんなの。
先生には感謝してる。
居候させてもらってんだもん。