冷徹上司のギャップに振り回されています
……わかってる。私にも非はあるって。
そんな卓也を選んだのは私だし、信じて会社辞めたのだって私がしたことだし。

大体、学生の頃から仲のいい友達とか、母親とかには常々言われていたことだ。
 
――『お人好し』だって。
 
苛々としたまま乱暴にベッドに横たわり、天井を見つめる。
 
そんなこと言われたって。
困っている人が目の前にいて、しかもそれが親しい人だったら、やっぱり手助けしたいって思っちゃう。

それで喜んでくれたら、すごいうれしくなるし。
信じるより疑え、なんていうのも悲しいんじゃないかなって思うし……。

まぁ、それがお人好しなわけで、損するタイプってやつなんだろうけど。

「もー、わかんないっ」
 
ゴロン!と今度はうつ伏せに転がって、枕に向かって大きな声を出す。
目を閉じていると、ふと、昨日のことが思い返された。
 
そういえば、東海林さんにも言われたんだった。『お人好し』って……。
 
枕を抱きかかえてそれを思い出すと、居た堪れない気持ちになる。
 
まさか、出会って数分の人に、長年一緒にいる人に言われてきたことと同じ言葉を簡単に言われちゃうなんて。
しかも、あの人! 『お人好し』だけならまだしも、『バカ』ってつけてた! 思い出した! 
ちょっとひどくない!?
 
ムカッとして勢いよく身体を起こす。
そして、さっき放置していた求人情報誌を拾い上げた。
 
たった三百万ぽっちで、私の人生潰されたりなんかするもんか!
 
妙な意気込みで誌面を睨みつけながら、定時後に働けそうな求人に片っ端からしるしをつけ始める。
なにかに憑りつかれたように雑誌を捲り続け、気づけば夕飯も食べずにそのまま寝落ちしていた。


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