上司と上手につきあう方法【完結】
――――……
「でも、ヨリを戻すなんてありえないですよね~なに考えてるんでしょうね~」
「元カノはいつまで経っても俺を思ってるって、男にありがちな考えよね。そんなわけないのにさっ!」
「ですよー!」
ちゃぷんちゃぷんとお湯を揺らしながら、紗江子と伴ちゃんが、声をひそめ顔を寄せてささやきあっている。
二人の話は朝陽からすっかり『一度付き合った男は図々しい』論へと話を変え、それなりに盛り上がっているみたいだ。
そもそも私はじっくり付き合った男って朝陽一人ぐらいで、『男はこうだ』という二人の議論に加わることはできない。
(私の男性論=朝陽ということになるわけだし)
けれど二人の会話をそれなりに面白く聞きながら――ひとりで考えていた。
彼をかばうわけではないけれど、朝陽はたぶん『未だにあいつは俺に惚れてる』なんてお花畑思考はもっていないと思う。