上司と上手につきあう方法【完結】

温泉を十分に堪能した私たちは、部屋に戻り、慌ただしくメイクをし、髪を結い、ホテルの大広間――宴会場へと向かった。

断代客用の広間が並ぶ襖の前には『ダブルベリーご一行様』と書かれた看板があり、スリッパが乱雑に散らばっている。


中に入ると、作務衣姿の中居さんたちが忙しそうに配膳をしている最中だった。

お座敷にはお膳の一列が約15人、向かい合わせでその倍の人数。それを一つのグループとして、4つ。結構な大所帯だ。

まだ7割くらいしか揃っていないとはいえ、ワイワイと座敷は盛り上がっていた。



「じゃあ私、とりあえずネット事業部の席に行きますねー」



伴ちゃんは自分に手を振る同僚女子たちに手を振りかえすと、ニコッと笑って、それからふと、思いついたように私の腕をつかみ、背伸びをして耳元に唇を寄せた。



「山本さんの様子、チェックしておきますから」

「ちょっ、伴ちゃん……!?」



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