上司と上手につきあう方法【完結】
いいの?
私と二人で外に出て、誤解されたら困るんじゃないの!?……って。
驚いたけれどうまくそれを断る言葉も思いつかない。
それに私自身……
正直に言うと、理由がなんであれ、部長と二人で話が出来ることが嬉しかったのだ。
なんだかあの時みたいに――
部長が彼女にフラれて、それを私が発見して。
それから二人で秘密を共有した夜のことを、思い出さずにはいられなかった。
部長と一緒にで外履き用のスリッパをフロントで借り(ホテルの敷地内は浴衣で出てもいいらしい)、エントランスを出て、海が見えるほうへと向かった。
「――風、強いですね」
さすが海の目の前と言うべきか、風がそれなりに吹いてくる。
髪がばさばさとなびき始めたので、手首にとめていたシュシュで髪をまとめながら彼に話しかける。