上司と上手につきあう方法【完結】
あの時の私たちには、生涯添い遂げると神様の前で誓ったわけでもない。社会的責任もなかった。
なんの約束もない、だからこそ「好き」という気持ちを大事にして、一緒にいられた。素晴らしい時間だった。
だけど当時の私はそれがわからなかった。
永遠に、彼の気持ちは変わらないと思い込んでいた。
「……私、朝陽にべったりで、依存してたよね。朝陽が私を持て余してるなんて、想像もしなかった」
なんでも、朝陽のためにって思っていた。
彼のために料理を作り、彼のために散らかった部屋を片付け、彼に会う時間を作るために講義を考えて取っていた。
全てが大好きな朝陽のためだったと、当時は思っていたけれど――
それは違うんだと、今ならわかる。
私は実に、重っくるしい女だったんだって……。
別れたあと、冷たかったのも彼なりの気遣いだと思う。
優しくされれば、私は彼への未練を断ち切れないのは間違いないのだから――。