上司と上手につきあう方法【完結】
大きな手。熱い手のひら。
結局、ごくごくと水を飲む部長に何も言えないまま、私はソファーの前にひざまづく。
「――はぁ……」
部長は水を飲みほした後、グイッとこぶしで唇をぬぐった後、じっと私を見下ろす。
「部長?」
裸眼の部長は、なんだか幼く見える。
いや、三十そこそこの彼はまだ全然若くてハンサムなんだけど。
無防備っていうか……なんていうか。
でも、これってまずいよね。これ以上、彼のプライベートにかかわらないほうがいい。
そう、シグナルが警告してくれるのに、目が逸らせないのはなぜだろう。
「――く、ない……」
「え?」
「別れ、たくない……」