上司と上手につきあう方法【完結】
唇に押し付けたけれど、端から水がこぼれる。
彼のシャープなあごのラインを水が伝うのを見て、なんだかイケないことをしている気分になる。
「もう、飲みたくないの?」
その動揺を誤魔化すためか、思わずため口でそんなことを言ってしまった私。
だけど泥酔している部長は気にならないみたいで。
「――飲む……」
苦しそうに眉根を寄せながら、ネクタイをぐいぐいと引っ張って緩めると、コップごと私の手をつかみ、引き寄せた。
その瞬間、彼の顔から眼鏡が滑り落ちる。
「あ」
眼鏡が……!
思わずそれに手を伸ばしかけたけれど――
もう一方の手をしっかりとつかまれて、手が届かない。