天使みたいな死神に、恋をした


 これから綠さんにどんな状況でこうなって、なんでここに来たのか、

 何がしたいのか、どうしたいのかを聞きだそうと決意し、背筋をしゃきんとさせて口を開きかけた時、息も出来ないくらい強烈な黒い風に包まれて、おもわず私は目をぎゅっと閉じた。
 



 次に目を開けたら、そこはアンジュラの家だった。



「なんで! もう少しで聞き出せたのになんでこうなってんの? 緑さんどこ!」

「まあまあ落ちついて」

「落ち着けるような状態じゃない! やっと見つけたんだよ! 目の前に、いや、私のすぐ横にいたのに。捕まえられたのに!」

 
 いいところで(正確にはそうじゃないとも言うけど)離されたら捕まえられるか分からないし、今度いつ会えるのかも分からない。

「そこは大丈夫ですよ、ルーインがなんとかやりますから」とのんびりした口調で言う死神はのんびりと歩きながら話している。

「ちょっとこちらの諸事情でもう少しかかるそうですから、翠さんはしばらくここでゆっくりしていて下さい」

「なに諸事情って」

「諸事情です」


 内容は教える気はないというスタイルの死神は、私は仕事に出ますからここにいてくださいねと言い、私を残してどこかに出かけようとした。

 例のあの切れ味抜群そうな鎌を背中に掛けて。

「ちょっと」
 
 家を出ようとしたアンジュラの黒いローブをひっぱった。
 
 が、びくともしない。

「まだ何か?」
 
「なんの説明も無しに理不尽に置いてかないでよ」

「ですから今言いましたよ。ルーインがなんとかしますからその間は何もできません。あなたがあのまま彼女に何かを吹き込んだらよけい話がややこしくなりそうでしたし。というより何もしない方が楽じゃないですか。」

 私が入り込むとややこしくなると思ってるんだ。そんなの、やってみなければわからないのに。
< 101 / 262 >

この作品をシェア

pagetop