天使みたいな死神に、恋をした
黒い世界、それがアンジュラの住む世界だ。
心霊スポットなんかよりも恐ろしく、そしてそこには夢も希望も何もない。
アンジュラから降ろされた私はカシャリと音の鳴る何かの骨のような、枯れた木のようなものの上を、アンジュラを追いながら転ばないように気を付けて歩いた。
滑らかに進む死神はきっと歩いてなんかいないんだろう。からだが上下に揺れないし、動く歩道に乗っているようなそんなかんじにしか見えない。
ローブに隠れているその中は、足なんかなくてきっと……何もないんだ。上半身しかなくて下半身は空洞だったりして。
とか、意味不明なことばかり考えながら置いていかれないように必死に着いて行くこと数分、
時間の概念すら無いって言ってたからもしかしたら1時間以上経っているのかもしれないし、一日中歩いたのかもしれない。はたまた一分くらいなのかもしれない。
時計なんてものが無いから、私の今までに経験してきた『時間の感』でどのくらいかを計算するしかなかった。
音も無くにおいも風も無い。
不気味なまでに静まりかえったこの場所は、私が歩くたびにばきばきと折れる何かの音だけが響いている。
生き物の気配は皆無だ。だから匂いもないのかと気付いた私は怖くなり、辺りを見回した。
かなり前の方に行ってしまったアンジュラの後を小走りに追いかけた。
今はこの死神しか頼れない。離れたらほんと見つけてもらえないかもしれない、手の届く範囲にいつもいることにしよう。