天使みたいな死神に、恋をした
しばらくして何事もなかったように帰ってきた死神にさきほどのことをぶつけてみた。
「いやいや、私は最初からまったく見せる気はありませんでしたが、見たい見たいと騒いだのは翠さんですよ」
と、間違いのない解答に何も言えなくなる。確かにそうなんだけど、私が連れてけと言ったからなんだけど、でもちょっと好奇心がある。
「……いつもあんなのばっかりなわけ? ここでの仕事って」
「いや、もう少し軽いのが来ると思ってたんですけど、来たのが運悪く最悪なのが来てしまいまして、私としてもこれは想定外だなと感じましてね、あなたを帰しました。あの後に私がやることをお見せしたら翠さんは私のことを嫌いになるかと思いまして」
え?
何今の?
さらりと言ったけどなんかそれって……もしかして。
「翠さんは今のところ、良いとは言えないところに来ているんですから、何を見てもいいことはないんですよ」
ちょっと前に戻ってあの言葉の意味を聞きたいんだけど、死神の中では既に完結していて次の話へ移行している。
「ここへ来た者の最後はそれはそれは悲惨なものになるんですよ。ルーインサイドとは真逆に位置しますし、むしろ同じ土俵に立ってさえいないんです」
「人を殺めてきたって言ってたけど、あの腕、生前は誰かを殺してきたってこと?」
「一人じゃなく複数人を」
好奇心で気になって聞いてしまったけれど、気かないほうがよかった答えが返ってきたので、それ以上口を挟むことはやめた。
そんな私を見てアンジュラは面白そうに笑っていた。